「屋根は塗装すれば長持ちする」——多くの方がそう思われています。確かに、一般的なスレート屋根や金属屋根は、定期的に塗装を行うことで耐久性を維持し、雨漏りや劣化を防ぐことができます。
しかし実は、すべての屋根が塗装に適しているわけではありません。中には「塗ってもすぐ剥がれてしまう」「そもそも塗装してはいけない」屋根材が存在するのです。
本記事では、塗れない屋根の種類やその理由、そしてそうした屋根に出会った場合に取るべき対策について解説します。屋根リフォームを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
塗装できる屋根と塗装できない屋根の違い
まず最初に整理しておきたいのが、塗装できる屋根と塗装できない屋根の違いです。
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塗装できる屋根の例
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一般的なスレート屋根(コロニアルなど、健全な状態のもの)
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金属屋根(トタン、ガルバリウム鋼板など)
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セメント瓦(表面処理がしっかりされていれば可)
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塗装できない屋根の例
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劣化が激しく、塗装しても効果がない屋根
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材質的に塗料が密着しない屋根
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製品特性上、塗装で耐久性が確保できない屋根
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つまり、「材料の性質」と「現状の劣化具合」が塗装可否を決めるポイントです。
次の章から、具体的に「塗れない屋根」の代表例を見ていきましょう。
塗れない屋根の代表例と理由
ノンアスベストスレート(パミール、コロニアルNEOなど)
2000年代初頭、アスベスト規制により登場したノンアスベストスレート屋根。代表的な商品には「パミール(ニチハ)」「コロニアルNEO(クボタ)」「レサス(松下電工)」などがあります。
これらは一見すると従来のスレート屋根と変わらないように見えますが、実際には以下の問題があります。
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表面が非常にもろく、塗装してもすぐに剥がれる
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屋根材自体がミルフィーユ状に層間剥離してしまう
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割れや反りが進みやすく、塗膜でカバーできない
そのため、塗装では延命できず「カバー工法」や「葺き替え」しか選択肢がないのが現実です。
モニエル瓦(セメント瓦)
モニエル瓦はオーストラリア発祥のセメント瓦で、日本でも1970〜80年代を中心に多く普及しました。
この屋根材の特徴は、表面に「スラリー層」と呼ばれる特殊な着色層があることです。
問題は、このスラリー層が塗装の大敵になる点です。
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通常の塗装をすると、スラリー層ごと塗膜が剥がれてしまう
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専用の下地処理(スラリー強化プライマーなど)が必須
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施工難易度が高く、対応できる業者が限られる
適切に処理すれば塗装可能なケースもありますが、知識や経験がない業者が塗装すると数年で剥がれ、結局やり直しになることも多い屋根材です。
金属屋根の一部(銅板・ステンレス)
金属屋根といえば「トタン」や「ガルバリウム鋼板」が代表的で、これらは塗装によるメンテナンスが有効です。
しかし、金属屋根の中にも塗装が不要、もしくは不向きな素材があります。
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銅板屋根:経年変化で緑青(ろくしょう)と呼ばれる保護膜が自然に形成されるため、塗装する必要がありません。むしろ塗装すると逆効果になることもあります。
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ステンレス屋根:錆びにくい素材である一方、塗料が密着しにくいため塗装する意味がほとんどありません。
このように、金属屋根=塗装できると一括りにするのは危険です。素材ごとに適したメンテナンス方法が異なるのです。
劣化が激しい屋根
最後に挙げるのは、材質を問わず「劣化が激しい屋根」です。
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スレート屋根がボロボロに割れている
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下地の野地板まで腐食している
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雨漏りが長年放置されて内部まで傷んでいる
このような状態では、表面に塗料を塗っても効果がなく、むしろ数年後に追加費用が発生するリスクが高まります。
塗装=万能ではないことを知っておくことが大切です。
塗れない屋根に出会ったときの正しい選択肢
では、もし「自分の屋根は塗装できません」と診断されたらどうすれば良いのでしょうか。
カバー工法
既存の屋根の上に新しい金属屋根(ガルバリウム鋼板など)をかぶせる工法。
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既存屋根を撤去しないため工期が短く、廃材も少ない
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コストは葺き替えより安め
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遮音性・断熱性が向上するメリットも
葺き替え
既存屋根を撤去して新しい屋根材に全面交換する方法。
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根本的に屋根をリセットできる
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下地の補修も同時に行えるため安心
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コストは高めだが耐久性は抜群
「塗れない屋根だから終わり」ではなく、適切なリフォーム方法を選べば、むしろ長期的に安心で経済的なのです。
塗装できると思い込んで失敗するパターン
実際に多いのが、以下のような失敗です。
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「安く塗装できますよ」と言われて工事したが、数年で剥がれてしまった
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本来はカバー工法が必要な屋根なのに、塗装で済ませた結果、結局数年後に大規模工事が必要になった
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結果的に2重の費用負担となり、リフォーム費用が膨れ上がってしまう
こうしたトラブルを防ぐには、屋根材ごとに正しい知識を持ち、誠実に診断してくれる業者を選ぶことが不可欠です。
まとめ
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屋根には「塗れるもの」と「塗れないもの」がある
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特にパミール・モニエル瓦・銅板などは要注意
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劣化が進んだ屋根は塗装ではなくカバー工法や葺き替えが必要
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「安いから」という理由で塗装を選ぶと、後悔につながるケースもある
屋根リフォームは一度きりの大きな投資。だからこそ、正しい判断と信頼できる業者選びが大切です。
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